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まだ風薫る2005年5月の金曜日。
「そろそろ実が大きくなってきたよー。」
うれしい電話をもらって、高知インターから高速道路で15分。
何と便利な世の中でしょう。10kmの道のりもアッという間についてしまいます。
「はやかったねぇ~!?」
いつものビニールハウスに入りました。
「・・・ついに、きましたねー。」
「きましたねー(笑)。」
「昨年も来ましたけど、全然ちがいますね。」
「今年は、気合いれましたから。」
「気合、はいってましたよねぇ。」
「気合が入れば美味しくなるなら、24時間
気合ばっかり入れますけどね(笑)。」
「気合で旨いものができたら、いまごろアニマル浜口が
日本一の生産者だもんね(笑)。」
「持っているだけのものは全て注ぎました。」
2月にマンゴーの花を見せていただいたときの話ぶりからしても
今年はかなり気合が入っている生産者さん。
「どうあっても、美味しいものを作りたいんですよ、今年は。」
普段クールな生産者さんですが、もうすぐ収穫の時季をむかえて、すごく熱が入っているようです。
その「熱」の入る理由があとからわかるのですが、このときは林立する樹木にぶらさがる見事なマンゴーの果実にすっかり魅せられていたのでした。
「すごい数ですねえ」
「・・・問題は、美味しいものがどのくらいあるか、ですね。数といえば、マンゴーの品種ってどのくらいあるか知ってますか?」
「いえ、知りません。お恥ずかしながら(汗)。」
「いや、僕も正確な数字は知らないんですが(笑)、人づてに聞くところ、インドを中心に軽く100種類以上はあるらしいですね。」
「そんなに!?」
「ウチで作っているのは『アップルマンゴー』と呼ばれているアーウィンという品種です。緑のキーツとか、ペリカンマンゴーとか、日本でお目にかかるだけでも10種類くらいはあるでしょう。」
「意外にメジャーなフルーツなんですね。」
「インドでは『お釈迦さまの食べ物』と呼ばれているそうです。」
「ありがたい食べ物なんですね。」
「そうそう。今年はウチのマンゴーに名前をつけたんですよ。」
「え!?どんな名前ですか?」
「『林檎(アップル)マンゴー』にしたんです。アップルを漢字にしただけなんですけど(笑)。」
「メチャメチャわかりやすいですね(笑)。」
「箱もつくっちゃったから、もう引き返せない(爆笑)。」
「ハウスの室温って30℃くらいなんですね。」
「うん。でも、30℃だからOK、というワケはないです。」
「30℃以上になってもダメ?」
「いえ、湿度と風が重要なんです。湿度はもちろんだけど、風が流れているかどうかが大切。」
「だからこまめに窓を開閉して風を通すようにしているんですか。うーん、いつもながら大変ですねえ。」
「特に風は重要です。元々アップルマンゴーって高木(こうぼく)なんですよ。背が高いから風にはあたっているのが普通なんです。あえて栽培の都合で低く枝を広げているだけだから。」
「これは人為的に枝を広げているんですか?」
「そうです。だから大きくなってくると移植が必要になるでしょうね。それを計算して植えてあるんですが、実際に移植するときはかなり気を遣うことになりそうです。」
「ここから収穫までに気をつけることってあるんですか?」
「ほとんどのフルーツは、ギリギリまで木で完熟させたほうが美味しいわけです。この状態からさらに赤の色具合が変化してきますから、タイミングをみはからって袋がけをして水分を切っていくのがポイントです。」
「・・・大きくなりましたねえ。」
「『実がなる』って、本当に不思議ですよねえ。」
「プロなのに、えらく素人っぽい発言ですね(笑)。」
「いやいや(笑)、トマトだろうが茄子だろうがミカンだろうが、他の人が作っているのを見に行っても、いつも思います。実がなるって本当に不思議ですよ。特にこうして自分が作ったものだと、なおさら。」
いや、ホントに不思議やなぁ、と言いながらマンゴーの実をチェックしていく生産者さん。
結構面倒くさい作業の連続のはずなんですけど、いつもながら、作業をしている姿がなぜか楽しそうです。
あっちこっちと説明をしてくれるうちに、すこしづつ日が傾いていきます。
「それにしても、いつもながら、これを一人でやるのって大変なことですよね。」
「まったく、何ではじめちゃったのかなぁ、と、時々思いますよ。男のロマンといいながら、実は単なるムダづかいなのかもしれません。」
「元々、本当に趣味ではじめたんですか?」
・・・・この質問にこたえが返ってくるのに、めずらしく3分ほどかかりました。
沈黙が続くと、意外なほどビニールハウスの中は静かです。
ちかくの田んぼからカエルの鳴く声がケロケロとひびいてきます。
「・・・最初のきっかけは、ある人との約束だったんです。」
「・・・ある人、ですか。」
「その人がね、『このマンゴー美味しいよ』って、どこかで買ってきたマンゴーを食べたことがあるんです。でもそれは僕が一番最初に食べた”あのマンゴー(※)”に遥かに及ばないマンゴーだったんですよ。」 (※)生産者さんがマンゴーを作るキッカケとなった九州の某地方のマンゴーです。「いごっそう突撃取材」の一番最初参照。
「なるほど。」
「つい言っちゃったんですよね。『これよりずっと美味しいマンゴーがある』って。するとその人が、じゃあ、それを食べさせてよって言うから、勢いで『俺が作るから待ってろ!』って(苦笑)。」
「そこで何で『俺が作ってやる!』になるんですか!?僕なら探してきて買ってきてあげますけど(笑)。」
「誰かが作ったものを買ってきて、というのは作る人間としてのプライドが許さんでしょう、やっぱり(笑)。」
「そのあと九州に行ったんですね。」
「前にも話したように、本当に軽~い気持ちで相談したんですよ。そしたら九州の生産者さんが苗まで手配してくれて、あとはご存知のとおりです。」
「エライ約束をしちゃったもんですね。」
「”今年、史上最強のマンゴーができますように”って『願かけ』もしてくれて・・・。」
「その人もハンパじゃないですね(笑)。」
「そんなこと聞いたら、トコトンやりきらないと男がすたるじゃないですか。世界一美味しいマンゴーを毎日食べさせてやるぞっ!って(笑)。」
「要するに、ここにあるマンゴーって、その一人の女性のためだけに作りはじめたワケですか(汗)。」
「ハハハ。はっきり言っちゃうと、そうです(笑)。」
夕闇から、宵闇へ。あたりはすっかり暗くなってきました。
電燈もあるんですよ、といいながら、生産者さんが裸電球をつけます。
「それから本気モードに突入しちゃったんですね。」
「見ていればわかると思いますが、マンゴー栽培は重労働がないかわりに手間ヒマはすごくかかるんです。そこを、いっしょに見回りをしてくれたり、手伝ってもらってりして。」
「なるほど。道理で・・・。このマンゴーの存在を知っている人自体、市場のなかでも極少数ですし。」
「もとはといえば、その人に食べてもらって『どうだ!これが俺のアップルマンゴーだ!』って言えればそれでよかったんだよね。」
とっぷりと日も暮れて、リィリィと虫が鳴き始めます。
無数に見えるマンゴーの果実に裸電球が濃い陰影をつけるのを二人でながめていると、ハウスのなかだけ時間がとまったかのようです。
「そろそろ収穫ですね。その人も楽しみなんじゃないですか。」
「・・・・きっと、どこかで、食べてくれるでしょう。」
「・・・えっ?」
電燈に集まる虫の群れを見ながら、ぽつりと応える生産者さん。
大きく息をつく表情は、帽子の陰に隠れてよく見えませんが、「きっと、どこかで」という彼の言葉だけで、おおよそのことはワタシにも理解できました。
「・・・・そうですか。」
「・・・今年は、訳があって、ここには来ていません。だけど、『林檎マンゴー』の名前は伝えましたから、きっとどこかで食べてくれるでしょう。」
「そうですね。きっと、いや、絶対に食べてくれますよ。」 (^_^)
☆。:*: ・'゜★。.:*:☆。.*: ・’゜★。.:*:
「実が熟しておちる瞬間ですか!?」
「僕の経験だと、だいたい早朝に落果するんです。マンゴーの袋がけを手入れしたり、吊りなおしたりしているとね、プチっ!て音がしてマンゴーが落ちるんです。」
「ウソでしょ~!?」
「一度早朝に来てください。本当に「プチ!」って音がしますよ。背後で音がして、振り返ったときには葉がザワザワってゆれているだけ。そのザワザワもすぐに小さくなって、また元の静かな世界に戻るんです。すごく不思議な光景ですよ。」
「うーん、それは一遍見てみたいです。さっき、マンゴーはインドあたりが原産だろうって話がありましたね。インドの樹海の中で、誰も見ていないところで同じようにプチって音がしてマンゴーが落果しているんでしょうね。」
「作っている人だけしかわからない楽しみかもしれませんね。」
「作っている人の苦労はともかく、こうして夜のハウスでマンゴーをみていると落ち着きますねえ~。」
「北村(A)くん、疲れてるんじゃないの?普通、こんなトコに、こんなに長くいないよ(笑)。」
「いやいや(苦笑)。何はともあれ、もう、収穫が目の前ですねえ。」
「『林檎(アップル)マンゴー』って名前もつけちゃったから。外見は真紅。切ったら糖度18度以上。まばゆいばかりのマンゴーオレンジをみんなに楽しんでもらいたいです。」
「またまた心にもないことを!本当はたった一人だけに楽しんでもらえればいいんでしょう!?」
「しまった、言うんじゃなかった(苦笑)。ノセられたばっかりに変なことしゃべっちゃったなぁ。いいんです。ともかく誰かが喜んでくれれば、ぼくは、それで。ともかく今年は気合が入っていますから、ギリギリまでがんばりますよ。」
「一番最初にその年のマンゴー食べるときは、本当にドキドキする。」
一年間勉強したテストが返ってきたときの感覚かな、と笑う生産者さん。今回もお忙しい中、本当にありがとうございました。
本番の収穫までに少しづつ切って食べるそうなのですが、その出来、不出来に一喜一憂、本当に「この一年にかけてきた」人にしか体験できない感覚なのでしょう。
今年は6月も第2週になってからようやく気温があがってきたので、一気に水を切って熟していく体勢になりそうです。
果たして「史上最強のマンゴー」はできるのでしょうか?
そして、マンゴーにかける男のロマンは実を結ぶのか?
一年にわたって「いごっそう取材」を読んでいただいたみなさまといっしょに、その行く末を見守りたいと思います。
それでは最後までよんでいただいていありがとうございました!
2月になって今年一番の寒さが高知に訪れた日曜日。
「マンゴーの花が満開だから見においで。」
そんな言葉にさそわれて、またまたお出かけしてまいりました。
実はワタクシ、うまれてこのかた『マンゴーの花」なるものを見たことがありません。
いったい、どんな花なんだろう?と思いを巡らせるうちに、あっというまに土佐市に到着。
まあどうぞ、と見慣れたビニールハウスに入ったとたんにビックリ!
「・・・また、やってくれましたねー。」
「真っ赤でしょ。」
「キレイですねぇ。。。。ボキャブラリーが貧困でスミマセン。」
「キレイだけど、香りがすごいでしょ。」
「臭いというわけではないですね。なんというか。。。」
「化粧品が古くなったようなにおいですよね。」
「暑いですねぇ。ハウスだから当たり前ですけど(笑)。」
「汗をかくと風邪をひきますよ。」
「ちょっと、車に戻って上着を脱いできます。」
車から戻ってくるとき、さっきまでとても寒く感じていた外気温が涼しく感じます。
冬の陽射しは弱いといいますが、やっぱりお日さまのちからってスゴイです。
ハウスにもどると、手をやすめることなく花を吊っている生産者さん。
ひとつ、またひとつ、マンゴーの花が天に向かって立ち上がります。
「それにしても、夏に草引きの応援にきたときとは大違いですね。 」
「ヤシガラを敷いてみたんです。」
「ヤシガラって、”椰子の実”のアレですか?」
「今年は見た目にもこだわりました。”外見農業”と呼んでください(笑)」
「これって、マンゴーに有効な栽培方法として紹介されてるんですか?」
「僕が勝手にやっているだけ。 下草が生えないし、地温的にもいい影響があるかなと思って。すべて自己流です。」
「いつもの自己流ですね。スゴイなぁ(笑)。ところで、マンゴーの花ってもっと大きいと思っていました。」
「南国の花=ハイビスカスのイメージがあったんじゃないですか?ちがうんですよね、これが。」
「しかも、生産者さんのマンゴー畑で撮影された写真って少ないですよね。」
「うーん、おそらく病害虫の侵食の危険を考えて、花の咲く時季にカメラマンを入れないんじゃないかな。」
「げげっ!じゃあ、僕の存在自体が危険ってことですか!?」
「ハハハ。そこは気にせんでも大丈夫。」
「よくみると、赤いのは花だけじゃないんですね。」
「茎のところが赤くなっているんです。花芽はさいしょカリフラワーのように固くて緑です。 ほら、これがそう(写真左)。これが成長してこうなって(写真中)、だんだん茎が枝になって 赤くなっていくんです(写真右)。」
「ぜんぶ糸で吊ってありますね。これ、全部ひとりでやるんですか。」
「僕以外にいませんから(笑)。収穫までに最低3回は吊り直すかな。」
「3回も!?メチャメチャ大変じゃないですか。」
「そうですか?花を吊るのは急いでやらないといけないから、大変だとか考えているヒマもないですね(笑)。」
こんな会話をしながらも、手を休めることなくヒョイヒョイとマンゴーの花を吊ってゆきます。
「この”吊り紐”と”吊り金具って市販されてないですよね?」
「うん、手作り。金具はごらんのとおり、ハンガーから作ってます。実は、紐が意外なものですよ。」
「意外なもの、ですか。」
「ホームセンターにありそうでしょう?それが、買いに行ってもナカナカ見つからなかったんですよ。」
ここでクイズです。この「吊り紐」の素材は何でしょう?こたえは一番さいごのところで。
(^^)b
「花が咲いたら順番に吊るから、毎日吊らないといけない。結構な手間です。」
「ところで、そもそもなんで花を吊るんですか?」
「ものすごく重要。まず日光をまんべんなくあててあげるために花を吊る必要がある。 それから、花に受粉させるため、つまり、虫が花にまんべんなくとまることができるようにするために 吊ってあげる必要があるんですよ。」
「なるほど。どの花にも平等にチャンスをあげないといけない、と。 ”世界にひとつだけの花”っていうのはウソではないんですね(笑)。」
「うーん、、、、それはどうかな!?(苦笑)。 たくさん実をつけさせてその中から選別することが、良い果実を採取するうえで必要だからね。 さっきの枝一本に最終的にはひとつしか実をつけないようにもっていきますから。」
「げげ!ということは、最後に残った実はオンリーワンでありつつ、ベストワンなんですか。 フルーツ稼業も楽じゃないですね(汗)。」
「ほら、ウワサをすれば、受粉の立役者がきたよ。」
「ミツバチですね。」
「見てください。ほら。。。。ほらほら!こうしてる間にも花の上を歩いて次々と受粉させていくよね。 僕ら人間がぜったいにできないことをやってくれます。 みんな、受粉=蜂だと思ってるでしょ。実は蝿(ハエ)や蟻(アリ)も受粉に一役買ってるんですよ。 人間がどんなに頑張ったってこいつらにはかなわない。スゴイよね。」
「銀蝿が役に立っているとは意外でした。 横浜でケンカしていたところを蘭さんにとめられているだけかと思ってました(※)。」
「(無視して)ハチよりも銀バエなどのハエのほうが花には良いんですよ。ほら、ハチは花をくるくる回すから 受粉もさせてくれるけど花をいためたり花を落とすことあるんです。
ミツバチはすごい、ハエもアリもすごい、と何度も何度もくりかえす生産者さん。
なるほど、たった一人で作っていても決して孤独に黙々と作っているわけではないのです。
辛い作業も楽しそうにこなす人に作ってもらったら、作ってもらうマンゴーもきっと楽しいに違いありません。
「ところで、今年は順調なんですか?」
「今のところはね。でも、台風もあるだろうし、何ともいえないですよ。」
「去年が1年目で今年が2年目じゃないですか。 自己流といいながら、どうしてこんなに順調に作れるんですか? 聞くところによると、他の隣接作物から転作したひとでも 結構失敗しているみたいですよ?」
うーん、といいながら生産者さんは手を休めずに花を吊っていましたが、 しばらくして、ちょっと考えながらこう答えてくれました。
「”感じる”、、、、ことじゃないですか。」
「”感じる”、ですか。」
「別に格好いいものじゃないですよ。センスがあるとかないとか言うけど 自分にセンスがあるとは思っていないし(笑)。 ただ、、、最初作ったときに何にも感じない人はイケナイんじゃないか、と。」
「・・・。」
「たとえば、こう、なんというか(苦笑)、作っていく過程で、いろんなものを 見て、さわって、食べて、香りを嗅いで、感じるものがたくさんあると思うんです。 感じたら、行動できると思うんですよ。」
自分は感じたことを、つぎに生かしているだけなんです、といいながら こんな話もしてくれました。
「高知で有名な徳谷フルーツトマト、ありますよね。あそこの中でも美味しいと評判の 生産者さんって、ハウスに泊り込んで温度や湿度の管理をしているって聞きますよ。 やっぱり、『感じる』から、いつも一緒に居たいんじゃないでしょうか。」
「トマトの気持ちを感じたら、いまは一緒にいなくちゃダメだ!と行動に出ちゃうんでしょうね。」
「だから”トマトと話ができる”って言われるんですよ。ああ、いま暑がっているから 窓を開けてやらなくちゃ、とか、水が欲しいんだな、とか。」
「フルーツトマトの水やりって秒単位、分単位ですもんね。」
「ちょっとでも水が多くてもダメだし、少なかったら枯れるし(苦笑)、そこらへんは マンゴーも同じです。”この味だ!”というものを追い求めたら、どうしても 妥協はできないですよね。」
「だから、さっきのヤシガラが詰まった袋がベッドがわりなんですね。」 (^_^) (↓写真)
「とりあえず、一番好きな木の前で寝泊まりしてます(笑)。」
「え!?一番好きな木って、あるんですか?」
「ありますよ。生産者ならみんなあるんじゃないかな。だいたい入り口に一番近いところで 入ってきたとき真っ先に目に付くところに植えますよ。」
「もしかして、苗木のときから目をつけてたんですか(笑)!?」
「もちろん(笑)。」
(^^)
「一番好きな木は苗木のときからわかる。」
ほれ込んだ果樹を枕もとにしながらのヤシガラのベッド。
意外に寝心地よさそうでした。
こちらがその「ベッド」からみえる光景です。
ただ、すぐ近くに加温器もあって10分に一回はディーゼルエンジンが作動。
最初はうるさくて寝付けないとか。
(^^;;
ちなみに「クイズ」のこたえは「魚網」。
そう。魚をとるときの網なんです。
「黒が一番いいんです。黒だと遠くからみたとき糸が見えないんですよ。」
ここが”外見農業”のポイントですよ、と楽しそうに笑う生産者さん。
また夏までに一度オジャマしたいと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました!
(※)横浜銀蝿という名前のロックグループがおりまして、メンバーはかならずリーダーの蘭さんに何か説教をされてメンバーに加わっていたエピソードをこそっとシャレでいれてみましたが、見事にスルーされました。
土佐の高知の完熟マンゴー
~林檎マンゴー2004~
(一番最初の2004年初夏の内容です。その後も追跡取材しておりますのでぜひご覧ください!)
熱帯果樹の「王様」。マンゴー。高知でも作られるようになりました。
今回突撃取材したのは文旦の郷、高知県土佐市のマンゴー栽培地です。トロピカルフルーツの代名詞マンゴーはとっても甘くておいしい!反面、虫や鳥にも狙われやすく樹木の病気も発生しやすいフルーツです。
そんなフルーツを、農薬や化学肥料をほとんど使わないで育てている方を取材してきました。
さ、どうぞと招き入れてくれたのは、50M×20Mくらいのビニールハウス。 思っていた以上に広くて本格的。 一面のマンゴーですけど、これはどれくらいの人数で手入れをするんでしょう?。
「僕だけ。」(キッパリ)。
えっ?一人だけ・・・ですか。
「そう。夏の草引きにアルバイトを頼むことはあるかな。」
げげ。世の中にはすごい男がいたもんだ。ところでハウス栽培をはじめてどのくらいになるんですか?
「3年目になるねえ。苗木を植え付けてから。」
葉っぱや果実の手入れをしながら、しかし丁寧に答えてくれます。寸暇を惜しむとはこのこと。ところで、土佐市でマンゴーの栽培をはじめたキッカケは何ですか?。
「うん。はじめて食べたマンゴーがすごく美味しかったんだよね。」
そんなに美味しかったんですか。
「死ぬほど。」
確かに。よく缶詰になっているフィリピンのマンゴーと違って他にない独特の味ですからね、酸味のないアップルマンゴーは。それでいきなり作っちゃおう!って?
「ニンジンの良いものを作っている生産者さんを見学にいったとき、偶然マンゴーを食べる機会があってね。それが美味しかったんですよ。死ぬほど。次に行ったときに『いやあ俺もこんなの作ってみたい』って軽く言っただけだったんです。で、高知へ帰ってきたら栽培してる人から電話があって、『もう苗買っちゃったぞ!』って(笑)。ええっ、まだハウスもできてないのに(笑)。」
ニンジンは園芸作物ですけど、マンゴーのような果樹作物を作った経験は?
「ない」(キッパリ)
・・・ない?
「なかったね」
果樹作物って難しいと聞いていますけど、ずいぶん勉強されたんではないですか?
「いやいや、全然。なんとなく、こうなんだろうなあ、って。」
手探りだけで、ここまで出来ちゃうもんなんですか?!
「いや、まだまだですよ。来年は一からやり直そうと思ってます。なにせ、これだけ実がなったのは今年がはじめてでしょう。実がなったらどうすべきか、というところまで考えてないわけですよ。」
それにしても、下草ボーボーですけど。モンシロチョウも飛び回ってるし。
「うん。農薬使ってないからね(※)。」
使わないポリシーなんですか?
「全然(笑)。単純に時間がないから。でも結構できるもんですよね。」
化学肥料は?
「使ってない。そうそう。僕、JASの有機認定を指導する資格持ってるんですよ。」
ええっ!本当ですか!?すごいですねっ!
「すごくはないですよ(笑)。すごくないけど、今のところ持ってる人は少ないですよね。」
でも、認定もらう以前に有機栽培するのっていろんな意味で大変じゃないですか?自分の聞いた話だと、スーパーなんかでも有機とか自然栽培がいいというお客様の声はありつつも、実際には虫が入っていたらメチャメチャ怒られたりするみたいですよ(苦笑)。
「虫が入っている、イコール、無農薬の証明なのにね(笑)。やっぱり最後はお客さんがどれくらい自然を理解しているかじゃないですか。」
話しながら葉の上の白い粉を指差します。
「これカイガラムシ。あと、この黒いのは病気。放っておくと木が全滅するからね。」
無農薬っていうことは、こういうのをひとつひとつ取り除いていくんですよね。
「僕はいいんです。最終的に出荷できないものは自分で食べる覚悟だから。僕も量販店への出荷実績はあります。でも、それはそれ。このマンゴーだけで食べていくとなるとそうはいかないでしょ。大変ですよね。」
消毒=無農薬じゃない=身体に悪い、っていうのも幻想なんでしょうかね。友達に化学の専門家がいるんですけど、法律に違反している強力な農薬じゃない限り、残留農薬を気にする前に風邪薬とか頭痛薬の飲みすぎを気にした方がいいって言ってました。
「消毒といっても実に直接かけるわけじゃないしね。ハウスだと年2回くらいで十分だし、屋根を開放して一回雨が降ればすっかり洗い流されてしまうし。」
話しながらマンゴーをむいて渡してくれました。お手数かけてスミマセン(汗)。
「完熟だと手で皮が簡単にむけちゃうんですよ。聞いたところによると某有名タレントが深夜番組で「沖縄のマンゴーは手でむけるんや!」って言うてたらしいんですけど、完熟しているとちゃんと手でむけるんです(笑)。」
それは知りませんでした。なにせ食べる機会がないから(苦笑)。いただきます~。
「・・・・・・・・。」
・・・・・・・こっ、これっ、すっごく美味しいですよ。
「お日様をなるべく当ててあげることが大切みたいです。高知は日本でも1,2を争う日照時間の長いところだから立地条件はいいわけですよ。」
見た目はともかく、味はバッチリ!ですね。
「いや、まだまだですよ。僕がはじめて食べた”あの味”には、まだまだ。」(笑)
最後はやっぱりそこですか(笑)。今日はお忙しいなか、どうもありがとうございました。
とても余裕をもって育てているように見えますが、実際は結構手を入れていることがわかります。実はこの取材の後に他所でマンゴーを作っている生産農家の人が「見学」にやってくることになっていたのです。土佐市の生産者の方、お忙しい中、本当にありがとうございました。
(^^)v
(※)2004年の初夏当時はまったく無農薬の状態で作っていましたが、収穫して出荷したあとに高知を台風が5回襲来しました。その影響で樹木に病気が発生したため、やむをえず消毒を一度いっせいに行いました。
その後は一切農薬を使っておりませんが、無農薬という表現は誤解をまねきますので(また「特別栽培表示」の登録もしていませんので)、自然栽培ということで表現をさせていただいております。