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2月になって今年一番の寒さが高知に訪れた日曜日。
「マンゴーの花が満開だから見においで。」
そんな言葉にさそわれて、またまたお出かけしてまいりました。
実はワタクシ、うまれてこのかた『マンゴーの花」なるものを見たことがありません。
いったい、どんな花なんだろう?と思いを巡らせるうちに、あっというまに土佐市に到着。
まあどうぞ、と見慣れたビニールハウスに入ったとたんにビックリ!
「・・・また、やってくれましたねー。」
「真っ赤でしょ。」
「キレイですねぇ。。。。ボキャブラリーが貧困でスミマセン。」
「キレイだけど、香りがすごいでしょ。」
「臭いというわけではないですね。なんというか。。。」
「化粧品が古くなったようなにおいですよね。」
「暑いですねぇ。ハウスだから当たり前ですけど(笑)。」
「汗をかくと風邪をひきますよ。」
「ちょっと、車に戻って上着を脱いできます。」
車から戻ってくるとき、さっきまでとても寒く感じていた外気温が涼しく感じます。
冬の陽射しは弱いといいますが、やっぱりお日さまのちからってスゴイです。
ハウスにもどると、手をやすめることなく花を吊っている生産者さん。
ひとつ、またひとつ、マンゴーの花が天に向かって立ち上がります。
「それにしても、夏に草引きの応援にきたときとは大違いですね。 」
「ヤシガラを敷いてみたんです。」
「ヤシガラって、”椰子の実”のアレですか?」
「今年は見た目にもこだわりました。”外見農業”と呼んでください(笑)」
「これって、マンゴーに有効な栽培方法として紹介されてるんですか?」
「僕が勝手にやっているだけ。 下草が生えないし、地温的にもいい影響があるかなと思って。すべて自己流です。」
「いつもの自己流ですね。スゴイなぁ(笑)。ところで、マンゴーの花ってもっと大きいと思っていました。」
「南国の花=ハイビスカスのイメージがあったんじゃないですか?ちがうんですよね、これが。」
「しかも、生産者さんのマンゴー畑で撮影された写真って少ないですよね。」
「うーん、おそらく病害虫の侵食の危険を考えて、花の咲く時季にカメラマンを入れないんじゃないかな。」
「げげっ!じゃあ、僕の存在自体が危険ってことですか!?」
「ハハハ。そこは気にせんでも大丈夫。」
「よくみると、赤いのは花だけじゃないんですね。」
「茎のところが赤くなっているんです。花芽はさいしょカリフラワーのように固くて緑です。 ほら、これがそう(写真左)。これが成長してこうなって(写真中)、だんだん茎が枝になって 赤くなっていくんです(写真右)。」
「ぜんぶ糸で吊ってありますね。これ、全部ひとりでやるんですか。」
「僕以外にいませんから(笑)。収穫までに最低3回は吊り直すかな。」
「3回も!?メチャメチャ大変じゃないですか。」
「そうですか?花を吊るのは急いでやらないといけないから、大変だとか考えているヒマもないですね(笑)。」
こんな会話をしながらも、手を休めることなくヒョイヒョイとマンゴーの花を吊ってゆきます。
「この”吊り紐”と”吊り金具って市販されてないですよね?」
「うん、手作り。金具はごらんのとおり、ハンガーから作ってます。実は、紐が意外なものですよ。」
「意外なもの、ですか。」
「ホームセンターにありそうでしょう?それが、買いに行ってもナカナカ見つからなかったんですよ。」
ここでクイズです。この「吊り紐」の素材は何でしょう?こたえは一番さいごのところで。
(^^)b
「花が咲いたら順番に吊るから、毎日吊らないといけない。結構な手間です。」
「ところで、そもそもなんで花を吊るんですか?」
「ものすごく重要。まず日光をまんべんなくあててあげるために花を吊る必要がある。 それから、花に受粉させるため、つまり、虫が花にまんべんなくとまることができるようにするために 吊ってあげる必要があるんですよ。」
「なるほど。どの花にも平等にチャンスをあげないといけない、と。 ”世界にひとつだけの花”っていうのはウソではないんですね(笑)。」
「うーん、、、、それはどうかな!?(苦笑)。 たくさん実をつけさせてその中から選別することが、良い果実を採取するうえで必要だからね。 さっきの枝一本に最終的にはひとつしか実をつけないようにもっていきますから。」
「げげ!ということは、最後に残った実はオンリーワンでありつつ、ベストワンなんですか。 フルーツ稼業も楽じゃないですね(汗)。」
「ほら、ウワサをすれば、受粉の立役者がきたよ。」
「ミツバチですね。」
「見てください。ほら。。。。ほらほら!こうしてる間にも花の上を歩いて次々と受粉させていくよね。 僕ら人間がぜったいにできないことをやってくれます。 みんな、受粉=蜂だと思ってるでしょ。実は蝿(ハエ)や蟻(アリ)も受粉に一役買ってるんですよ。 人間がどんなに頑張ったってこいつらにはかなわない。スゴイよね。」
「銀蝿が役に立っているとは意外でした。 横浜でケンカしていたところを蘭さんにとめられているだけかと思ってました(※)。」
「(無視して)ハチよりも銀バエなどのハエのほうが花には良いんですよ。ほら、ハチは花をくるくる回すから 受粉もさせてくれるけど花をいためたり花を落とすことあるんです。
ミツバチはすごい、ハエもアリもすごい、と何度も何度もくりかえす生産者さん。
なるほど、たった一人で作っていても決して孤独に黙々と作っているわけではないのです。
辛い作業も楽しそうにこなす人に作ってもらったら、作ってもらうマンゴーもきっと楽しいに違いありません。
「ところで、今年は順調なんですか?」
「今のところはね。でも、台風もあるだろうし、何ともいえないですよ。」
「去年が1年目で今年が2年目じゃないですか。 自己流といいながら、どうしてこんなに順調に作れるんですか? 聞くところによると、他の隣接作物から転作したひとでも 結構失敗しているみたいですよ?」
うーん、といいながら生産者さんは手を休めずに花を吊っていましたが、 しばらくして、ちょっと考えながらこう答えてくれました。
「”感じる”、、、、ことじゃないですか。」
「”感じる”、ですか。」
「別に格好いいものじゃないですよ。センスがあるとかないとか言うけど 自分にセンスがあるとは思っていないし(笑)。 ただ、、、最初作ったときに何にも感じない人はイケナイんじゃないか、と。」
「・・・。」
「たとえば、こう、なんというか(苦笑)、作っていく過程で、いろんなものを 見て、さわって、食べて、香りを嗅いで、感じるものがたくさんあると思うんです。 感じたら、行動できると思うんですよ。」
自分は感じたことを、つぎに生かしているだけなんです、といいながら こんな話もしてくれました。
「高知で有名な徳谷フルーツトマト、ありますよね。あそこの中でも美味しいと評判の 生産者さんって、ハウスに泊り込んで温度や湿度の管理をしているって聞きますよ。 やっぱり、『感じる』から、いつも一緒に居たいんじゃないでしょうか。」
「トマトの気持ちを感じたら、いまは一緒にいなくちゃダメだ!と行動に出ちゃうんでしょうね。」
「だから”トマトと話ができる”って言われるんですよ。ああ、いま暑がっているから 窓を開けてやらなくちゃ、とか、水が欲しいんだな、とか。」
「フルーツトマトの水やりって秒単位、分単位ですもんね。」
「ちょっとでも水が多くてもダメだし、少なかったら枯れるし(苦笑)、そこらへんは マンゴーも同じです。”この味だ!”というものを追い求めたら、どうしても 妥協はできないですよね。」
「だから、さっきのヤシガラが詰まった袋がベッドがわりなんですね。」 (^_^) (↓写真)
「とりあえず、一番好きな木の前で寝泊まりしてます(笑)。」
「え!?一番好きな木って、あるんですか?」
「ありますよ。生産者ならみんなあるんじゃないかな。だいたい入り口に一番近いところで 入ってきたとき真っ先に目に付くところに植えますよ。」
「もしかして、苗木のときから目をつけてたんですか(笑)!?」
「もちろん(笑)。」
☆。:*: ・'゜★。.:*:☆。.*: ・’゜★。.:*:
(^^)
「一番好きな木は苗木のときからわかる。」
ほれ込んだ果樹を枕もとにしながらのヤシガラのベッド。
意外に寝心地よさそうでした。
こちらがその「ベッド」からみえる光景です。
ただ、すぐ近くに加温器もあって10分に一回はディーゼルエンジンが作動。
最初はうるさくて寝付けないとか。
(^^;;
ちなみに「クイズ」のこたえは「魚網」。
そう。魚をとるときの網なんです。
「黒が一番いいんです。黒だと遠くからみたとき糸が見えないんですよ。」
ここが”外見農業”のポイントですよ、と楽しそうに笑う生産者さん。
また夏までに一度オジャマしたいと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました!
(※)横浜銀蝿という名前のロックグループがおりまして、メンバーはかならずリーダーの蘭さんに何か説教をされてメンバーに加わっていたエピソードをこそっとシャレでいれてみましたが、見事にスルーされました。